NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

旭川医大電カル頓挫事件に関する詳しい解説が出てました

 こんばんは。先日取り上げた旭川医大で起きた電子カルテシステム導入頓挫事件に関して、深く掘り下げた記事がありましたので、今回はこちらに言及しつつ、もう少し考察してみようと思います。

 今回取り上げる記事は@ITの記事からです。

www.atmarkit.co.jp

 この記事は3回連載中の2回目です。1回目に関しても気になる点がありますので、こちらに関しては別の機会に取り上げてみたいと思います。(3回目は11/6に公開されるようです)

 半端なく忙しい職業である「医師」

 この記事にあるように、「医師はとてつもなく忙しい職業である」。これは紛れもない事実です。これは認めます。システム開発に割く時間がないがないというのも分かります。その中でも積極的にコミットして下さる医師もおられます。

 情報システム部にもベンダ側にもいない「医師」

 では、情報システム部門が医師に代わって要望を吸い上げて仕切れるかというと、これも「No」ですね。残念ながら。非医師であり、事務部門に置かれることが多いこともあり、医師に対して立場が弱いことも大きいです。ITに関して詳しいかもしれませんが、医師に比べると医療に関する知識や技術は大幅に低くなります。

 そして、ベンダ側も開発側にいるのは非医師です。情報システム部と同様です。医療にそこまで詳しくない者同士ががっぷり四つに組んだとしても、どこまで出来るのかという話ではあります。そこへ医師があれこれ注文を付けてきます。院内では医師の立場が強く、情報システム部も何も言えず。そして、ベンダも押し返すことも出来ず、泣く泣く対応…といったようなところが現実ではないでしょうか。

 医療機関の特殊事情も加味したスケジュール設定を

 「現場とシステム部門の力関係」をはじめとする様々な要素を考慮したプロジェクト計画を立てるということは同感です。これだけでなく、「ベンダ丸投げではなく、一緒にシステムを構築して行くという意識(=お客様意識を捨てる)」「情報システム部にも一定の裁量権を与える」「『医師の圧力』を極力抑えられるような仕組み」あたりも追加された方がいいように思います。

 と、一般的なシステム導入に比べると、時間に余裕を持ったスケジュールを組まないといけないのではないかと思います。情報システム部にもベンダ側にもガチな医療従事者(ここでは医師)がいないことが電子カルテシステムに関しては言えるのではないかと思います。

 前にも書いたように、やはり「情報システム部にもベンダ側にも医師経験者(あるいは同等の力量を持った人材)が必要なのではないか」と思うのでありました。