旭川医大×NTT東日本の件をもう少し掘り下げてみます
こんばんは。旭川医大での電子カルテシステム導入頓挫に関する一連の流れをまとめた記事です。ITproの記事からです。
なお、2ページ目以降は会員登録(無料)の上、ログインする必要がありますので御注意下さい。
この記事を読む限りでは、旭川医大側にいろいろと非があるように取れます。無茶振りや、モンスタークレーマーのような振る舞いが垣間見えます。上から目線の要求を幾度となくベンダ側に強要している事実が列挙されていました。
「無料で追加要求」はしてはいけないし、受けてもいけないと思う
「追加要求が際限ない」というのも他業界では考えにくい、IT業界特有の代物なのかなという印象があります。たとえば、カレー屋に入ってビーフカレーを頼んだのに、後から卵や海老フライやミンチカツを追加するようなものです。しかも「無料で」と迫るという。一軒家を建てる場合に、希望を伝えて2階建て住宅を作っている最中に「地下室も欲しいし、3階も追加して!」と言って受ける建築事務所はまずないと思います。そうなった場合には、御破算になってもおかしくないですし、発注側に高額の追加料金の請求が行くだろうと思われます。しかし、IT業界ではそういう風になるケースは稀です。なので、今回のようなケースは貴重なのかなと受け止めています。
どうも日本には「形のないもの」に対するリスペクトがないことが大きな原因なのではないかと思えてなりません。
今回の問題点を列挙してみました
このへんはシステム導入を行う業界を問わないものか、医療機関特有の事情によるものとが混在していますので、話が見えにくくなる面があります。
ここで考えられることを列挙してみました。
- 電子カルテシステム(部門システム含む)は数億〜数十億の高額商品である
- なので、ベンダ的には1病院で成約するしないが大きく明暗を分ける
- 医療は人命を直接左右し得る業務である
- 医療情報はかなりセンシティブな個人に係わる情報である
- ベンダ側に医療従事者としての経験を持ったSEや営業がいない
- 医療機関側がベンダを下に見る傾向にある
- 院内で医師が絶大な権力を手にしてしまっている
- 医療機関とベンダが対等な関係になっていない
順不同ですが、ベンダ側の立場が弱いということが大きそうです。そして、受注側である医療機関側に「ベンダと一緒に最高のシステムを作る」という発想がないことでしょうか。「俺は客だから、俺の求めるものを持って来い。でも、俺が気に入らなかったら作り直しな。」というような態度が滲み出てしまっているのが拙いでしょうね。
あくまで対等な立場で「自分たちにとって最も使いやすいシステムを構築する」という発想を医療機関側が持つことと、ベンダ側も医療のプロを自社に抱え込むこと、そして卑屈にならないことの3点でしょうか。
このへんをさらにもう少し考察して行きたいと思います。
<たぶんつづく…>