NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

病院にWi-Fiの是非論議

 こんばんは。少し前の話になってしまいましたが、「病院でWi-Fiが使えるかどうか?」というお話になります。Togetterにありましたので、リンクを貼っておきます。

togetter.com

 元ネタ的には「これだけ無料Wi-Fi環境が整備されてきたのに、何故病院にWi-Fiがないの?」みたいな話だったように記憶しています。

 長期間入院していると、テレビだけしか娯楽がない状況もつらいと思います。

 スマホタブレットで動画を見たいとしても、当月分契約データ通信容量を使い切ってしまうというケースがあると聞きます。そうなると、院内にWi-Fiが欲しいという発想になるのも頷けます。

 患者目線では「なぜWi-Fi環境が提供出来ない?」というのも理解出来なくはないです。逆に、病院目線では「そう単純な問題ではない」という話になります。

 「Wi-Fiを整備したところで点数加算はない。面倒ごとが増えるだけ。」という後ろ向きな意見もあります。院内全体にWi-Fi環境を整備しようとすると、それなりのコストがかかります。

 かといって、「モバイルルータを使ってくれ」というのも問題があります。この点は後述します。

 私自身が過去の経験を踏まえて最も懸念しているのは、「医療機器や電子カルテシステム端末で使うノートPCとのバッティング」です。何も考えずに患者向けにWi-Fi環境を提供すると、上記機器への干渉が避けられず、診療行為に影響が及ぶ心配があります。

 そうなると、干渉を回避出来るように病院側でコントロールする必要があります。

 電子カルテシステムや医療機器用と患者向けインターネット接続用のWi-Fi環境をVLANで分離し、別のSSIDを設定してやります。その上で、バッティングしないようにチャンネル設定をし、無線APの配置について適切な設計を行います。

 先程ちらっと触れましたモバイルルータですが、入院患者さんが好き勝手に使い出すと、医療機器や電子カルテシステム用ノートPCにも影響が出ますし、患者さんが使っているモバイルルータ同士での干渉が起きる恐れがあります。

 モバイルルータ同士の干渉が起きないように調整するのもかなり難度が高くなることが予想されます。そうなってくると、電子カルテシステムリプレース時に患者さん向けインターネット接続用Wi-Fi提供も含めたネットワーク設計を行うのが現実解になりそうですね。

 いずれにせよ、そう単純な問題ではなさそうです。