NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

医療機関同士の情報連携に立ちはだかるハードルたち(1)

 こんばんは。今回は個人的に少々気になる記事がありましたので取り上げてみました。東洋経済オンラインからです。

toyokeizai.net

 SEさんが病院にかかった際に感じた医療機関間の情報連携が進んでいないと感じたエッセイです。IT業界におられると、「情報の共有化」にはたいへん敏感になるものです。

 この記事から推測するに、このSEさんは医療機関に勤務されたことはないのだろうとほぼ間違いなさそうです。医療機関勤務経験があると、つながない方向に洗脳されるか、なんとか突破してやろうとしても、あまりのハードルの高さ・多さに辟易して諦めてしまうケースが多いです。

 1つ目のハードルは「電子カルテベンダ間の互換性のなさ」

 これはよく言われています。大病院ですと、電子カルテと言えば「富士通NECか」の2ベンダのシェアが大きいです。他にもIBMなどもありますが、前述2社ほどのシェアはないです。

 やっかいなことに、各社間の互換性は限りなくゼロに近いと言ってもいいかもしれません。なので、電子カルテを更新する際にベンダを乗り換えようとすると、導入時にカスタマイズして追加した機能を完全に移行出来ないケースが出て来るなどで、ベンダロックインが起きやすい環境になってしまいます。

 まぁ、SS-MIX2という規格もありますが、万能ではないんですよねぇ…。

 2つ目のハードルは「セキュリティ面的様々な問題」

 「様々な」という表現をしましたが、これはIT以外の部分における人的問題も含みます。まず、電子カルテNWというと、「院内に閉じた形」で構築されていて、インターネットに(直接)接続するなど御法度な空気があります。さすがに患者情報をインターネットに剥き出しで置くような真似は論外です。そんなクローズドNWを院外の別の医療機関と接続しようとは積極的に考えないということもあります。その時点で「クローズド」ではなくなってしまいます。

 そして、責任分解点の問題もあります。どこまでを自院の責任とするかという点です。安全に管理出来ないNW同士を接続すると、かなり恐ろしいことになるのは目に見えています。がさつな管理状態でマルウェアに感染してしまったら目も当てられません。

 医療機関内にセキュリティに関する専門家がいないというケースの方が多いです。事務局には医療事務のエキスパートは存在しても、セキュリティのエキスパートはいないことの方が多いです。(まぁ、そういうプロを雇うだけの目を持った人がいないという問題もあります)

 遅くなりましたので、続きは近日中にお送りします。結構根が深い問題でもありますし。<(_ _)>