こんばんは。今日はショートバージョンになる予定ですが、もう少し東大病院電子カルテ問題について考察してみようと思います。
先日、ITproが取材した記事などを含めて、こちらの記事を書きました。
karasuma-kitaoji.hatenablog.com
ベンダ側だけでなく、病院側にも問題はあったんだろうということは察しがつきます。独自開発電子カルテ→パッケージ版電子カルテへの移行ということも大きな要因としてあったのだろうと推測されます。そして、リハーサルや変更点に関してのユーザ向け説明会に関する時間があまり取れなかったのだろうという点も想像がつきます。
それ以外の問題として考えられるのが、「単年度予算の弊害」なのではないかと見ています。
このへんは官公庁・独法だと、全ての機関が抱えている問題なのではないでしょうか。年度ごとの予算を組んでいます。4月1日から始まって、3月31日で終わるという仕組みで、翌年度に繰り越せません。
で、こいつが曲者です。検収もありますので、「3月31日時点で全て完了していて納品された状態であること」が大前提になります。4月1日以降に引っ張れないという大きな問題があります。
つまり、かなり強引な突貫工事が発生することも考えられます。決して全てを否定するわけではありませんが、こういう問題も背景にあったのではないかと考えています。
しかし、「システム更新は年始だったじゃないか!」というツッコミも聞こえそうです。「混乱を招きやすい新年度にシステム更新を持って来たくない」「時間の確保出来る年末年始に持ってきたい」「実際のシステム導入と検収までのバッファを見ておいて、何かあった場合の微修正を行う時間を確保したい」ということもあったのではないかと推察しています。
そして、「年度を跨るシステム導入が単年度予算の壁の存在で難易度が高い」ということも考えられそうです。事前調査やヒアリング・システム構築・説明会・リハーサル・勉強会等、様々なイベントを行うための時間を考えると、慎重かつ丁寧に行おうとすれば1年では足りないということも起こりそうです。その場合、名目を変えたりするんでしょうか。(想像の世界ですが)
年度毎に別項目で入札すると、異なるベンダが落札したりするようなことが起き得そうですが、その点はどうなのかな?とふと思いました。