佐賀県教育情報システムでの情報漏洩問題について(5)
こんばんは。佐賀県教育情報システムに関して続報がありましたので、もう少し続けて書いてみます。それにしても、いろいろとお粗末な話が漏れ伝わってくるのには本当にげんなりします。
共同通信やデイリースポーツや時事通信のサイトで17歳少年が「教育機関や教員に恨みがあった」と供述していたとのことです。恨みの対象は「組織としての教育機関」であり、特定の教員や学校ではないとのことです。
毎日新聞やNHKのサイトでは「教育機関や教員全体に恨みを持っている」とのこと。中学時代のいじめに遭った際の学校側の対応に不信感があったと読み取れます。
この少年が学校や教員全体、教育委員会に対して相当な不信感を抱いていたことを加味すると、教育情報システムの穴を見つけた時点で「セキュリティホールを見つけたことを学校に報告したところで握り潰されるのが関の山だろう。下手すると逆ギレされて『こいつにハッキングされた』と濡れ衣を着せられかねないな。こいつら信用出来ないからな。」と考えていたのではないでしょうか。「学校に対して復讐するチャンスだ」とでも思ったのかもしれません。だとしたら、かなり鬱屈した感情があったのでしょう。
読売新聞のサイトでは、社説としてセキュリティホールを放置した県やシステム開発業者の責任を指摘しています。自治体とベンダとの個別契約なので、文科省側も全体像を把握出来てないようです。自治体側に専門知識がないためにベンダの言いなりになっているとのこと。文科省が早急な実態把握と指針を示すべきだと書かれていました。
ならば、自治体側がもっとしっかりしないといけなかったのではないでしょうか。専門知識がないとか、ノウハウがないとかいうことは一切免罪符にはなりません。なんでもかんでも丸投げして許されるわけではないことも肝に銘じないといけません。
役所内に人材がいなければ、ゼロから育成出来る能力も対象となる人材もいないのだから、外部からスカウトしてくるしかありません。少なくともゼネラリストには務まる代物ではありません。
そして、文科省も通達出して終わりにしてはいけません。ちゃんと管理・運用出来ないのであれば、二次被害が発生する恐れもあるのですから強制的にでも停止させるべきだと思います。
昨日の朝日新聞デジタルでは県やベンダの姿勢や態度、文科省の監督問題については触れず、少年の不正アクセスの問題に誘導しようとしているようにしか見えませんでした。何か触れては拙い理由でもあるのでしょうか?
教育新聞によると、文科大臣がセキュリティの不備を指摘したとあります。文科省としては、呼びかけと情報管理についての見直しを行うと述べていました。
文科省サイトには「先進例」という記述がありましたが、「先進例」ではなく、「先行例」でしかないのではないでしょうか。そこは混同してはいけない点だと思います。
「腕試し」ではなく、セキュリティホールを見つけて学校をからかったことから、学校や教育機関そのもの、佐賀県教育委員会や佐賀県や文部科学省自体に対する怨念ではないかという印象を受けました。信頼関係が見事に崩壊しているように取れました。
こういう風に不正アクセスされてしまうのは、「それは人為的なものか、システムのことなのかも把握する必要がある」と記されてました。
実はそれ以前の問題だったので、事態はかなり深刻だと受け止めないといけないのではないでしょうか。他人事モードではなくて。
これまでの教育委員会の言動や行動を追っていると、ひたすら自分たちの責任逃れに汲々としている様子が伺えます。警察に通報せず、情報共有を怠る課長の行動や、各学校での保護者会にも誰も寄越さず、学校側に説明を押し付けているあたりどうしようもないです。各社報道を見る限りでは内部監査もやる気が全く感じられません。
少年はいじめを受けて相談した際に、教育委員会のこういう体質を感じ取って辟易していたのではないだろうか。セクハラ・パワハラ内部告発相談窓口が満足に機能しないのと同じことかもしれません。「報告は信頼出来るだけ外部機関に」ということなのでしょうね。一連のgdgdな対応を見ていると。
こういう事例に遭遇した場合は、自浄能力を失った内部組織に報告するのではなく、IPAやJPCERT/CCに通報し、マスコミに事実をブチまけていればまた違った展開になったかもしれません。
ここで重要なのは、通達を出して終わりじゃなくて、自浄能力のある組織にして生徒や保護者の信頼を得られる組織にすることと、穴だらけの欠陥システムは即刻停止して、どうにも出来ないのであればゼロベースでやり直ししかないんだろうなと思うのでした。
子供用自転車に補助輪付けて乗っている小学生が750ccのバイクに乗って公道を走ろうとしているようなものじゃないかと思いました。事故を起こすのは当然だし、見て見ぬ振りをしていたら大事故を起こしてしまったというようなところではないでしょうか。「無免許運転だ!大型自動二輪免許を取ってから乗れ!」というのは正しいんだけども、それ以前に「二輪車で走ること」がどういうことなのかを理解して、転ばないようにするにはどうすればいいかを自分なりに理解する必要があるはずです。まずは自転車に付いている補助輪を外すことが直近の解決課題だと思うのです。