NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

0と1以外の選択肢

 こんばんは。GW明けで平常運転モードに戻りましたが、いかがお過ごしでしょうか。なかなか急には身体の調子が戻らないことを実感します。

 
 今日はITそのもののお話ではないんです。(^^;;
 IT関係な業界にいると、0か1かの世界にどっぷり浸かってしまいます。思考もそれにつられる形でデジタル化してしまうこともあります。「自分とこの業界だけなのか」と思うと、意外とそうでもなく、結構二元論で物を考える方々が多いことに気づきます。例えば、「肉食派なのか草食派なのか?」という議論があります。世の中の人々をどちらかにレッテル貼りしたいんだろうなと思えてきます。「別に肉オンリーなわけでもなく、適度に植物も摂るわいな。」という中間派もおられるでしょう。
 ここで「肉食か草食か?」で思考停止してませんでしょうか?「肉食派?草食派?」と訊かれると、「魚食派です」と答えるようにしてます。「世間の食物が肉か野菜かしかないという二択は不健全なんじゃないか?どっちも今ひとつだと感じる者にとっては窮屈で仕方ない。第三の選択肢があった方がいいと思う。」と答えるようにしています。
 人によっては斜め上だという受け止められ方をします。マイノリティとしての居場所を求めているのかなと自己分析をしています。既成概念に囚われ過ぎていて、他の選択肢を見つけられないというのはいろいろと不幸な結果を呼んでしまうことがあります。
 「部下を注意しても言うことを聞かない。どうしたらいいんだろう?」という愚痴を聞いたことがあります。相談者(=愚痴をこぼした方)は叱りつけるか優しく諭すかの二択で考えているというのが普通です。
 その場合によく引き合いに出すのが「北風と太陽」の話です。通りがかった旅人のコートを脱がした方が勝ちだということで、北風と太陽が競う話ですよね。北風は旅人に思いっきりきつい風を吹きかけるわけですが、旅人はコートを脱ぎません。当然ですね。そこで、太陽が旅人に向かって光を照らすと、暑く感じた旅人がコートを脱ぐというストーリーですね。まさに二元論です。
 ここには「人は寒いとコートを手放さないし、暑いと必然的にコートを脱ぐ」という前提で話が進められています。本当にそうでしょうか?人はコートを着脱するのは寒いか暑いかという基準だけなんでしょうか?
 もし、この話が北風でも太陽でも旅人がコートを脱がなかったという展開だったらどうでしょうか?「暑かったら普通コートは脱ぐだろう」というツッコミが入りそうです。ここでこの前提を疑ってみて下さい。「もしかすると、何かコートを脱げない事情があったんじゃないか?」と。もしかしたら、この旅人はズボンが破けてしまったのでコートを脱ぐわけには行かなかったのかもしれません。そう考えてみると、旅人から見たら北風も太陽も「余計なことをしてくれるやつ」なわけです。家に帰るまで時間がかかる旅人は応急修理をしてくれる裁縫屋を見つけて入ります。北風も太陽も負けて、裁縫屋が漁夫の利をさらって行きました。
 他の旅人はどちらにも反応せず、通りがかった女子高生に「そのコートだっさ〜」と言われて、慌てて脱ぎ出して洋服屋に入ります。この旅人は世間体や体裁を気にします。洋服屋の勝ちです。
 また別の旅人はそれでも脱がずに、たまたま目に留まった風俗店に吸い込まれるように入って行き、コートだけでなく着ている服全部を脱ぎました。この場合は、北風も太陽も裁縫屋も負けで、風俗嬢の勝利ということになります。
 さらに別の旅人は裁縫屋には用がなく、女子高生の噂話も気にせず、風俗嬢にも目もくれず、ひたすらコートを脱ごうとはしませんでした。偶然旅人の前に川で溺れている子供が目に留まりました。旅人は慌ててコートを脱いで川に飛び込んで子供を助けました。この旅人にとっては、正義感がコートを脱ぐトリガになったということです。
 人によってコートを脱ぐきっかけは二元論では語れないものではないかということを言いたかったのです。北風を吹きかけたり太陽でも照らしても旅人がコートを脱がなかったとしたら、「これはおかしい」と考えるのではなく、他の理由があるのではないかという発想にならないと拙いのではないかと個人的には思います。このへんが柔軟な発想が出来るかどうかの分岐点のような気がします。
 もし、この場にとにかく明るい安村氏や小島よしお氏がいたら、北風も太陽もどうしたんだろうなと思います。彼らがたまたま仕事で裸でステージに立っていたとしたら…。
 そもそも前提が成り立たないケースもあり得るわけで、そういう場面に遭遇した際に臨機応変な対応が出来るかが重要ですよね。人間は想定外の場面に遭遇した場合というのに本当に弱いですからね。
 まぁ、「北風と太陽」にお二方が出て来ると童話自体が成立しませんね。(^^;;