NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

宇陀市立病院(奈良県)で電子カルテマルウェア感染(2)

 こんばんは。昨日の記事の続きになります。

 Twitter上でもいろいろと取り沙汰されていますね。プレスリリースを読んでいても、「ベンダ側の不備・設定ミスでした」的論調で、「悪いのはベンダです」という空気が伝わってきました。昨日書きましたように、「ベンダ側におんぶにだっこ」な姿勢は拙いです。システム構築・導入・運用はベンダまかせではいけません。客側とベンダ側が協力し合って作り上げて行く・日常の運用をして行くものだという考え方が重要です。

 他の電子カルテ導入事例でもありますように、「俺らは客で大金払ってるんだから、ベンダ側は俺らの要望を汲み取ってシステム構築・導入してくれ。運用もお宅らできちんとやってくれ。」というスタンスだと、だいたい問題が起きて拗れます。

 なぜ、こういう事態に陥るケースが後を絶たないのでしょうか?

「システム導入を飲食店で食事を頼むのと同様に考えているから」なのではないでしょうか。飲食店での注文時には、たとえば「ハンバーグ定食1つ」という風に頼みますよね。その後はスタッフの方におまかせで、料理が出て来るのを待つだけですね。

 これに対して、システム導入・構築・運用はどうでしょうか?自分たちが使うものですから、「どういう風に使うか」「どういった機能が必要か」「業務とシステムをどう擦り合わせるか」等々、ユーザーとしてベンダ側に伝えるべき事項は多く存在します。

 特に問題になってくるのは、「ベンダ側に業務に精通している人材がいるのか?」という点です。他業界にもありがちなことかもしれませんが、電子カルテベンダの場合だと、開発側に医師がいないという点でしょうか。もしかしたら、少数おられるのかもしれないですが、私が知らないだけだったりしますので、そうでしたらごめんなさい。

 「自分たちで使うものだからこそ、ベンダと二人三脚で導入する」という意識が必要なのではないでしょうか。今回の宇陀市立病院のプレスリリースからは伝わってきませんでした。(むしろ、「自分たちは悪くない」的空気が行間から読み取れました)

 これも病院側からしたら、「じゃあどないせえっちゅうねん!?」というツッコミが入りそうです。要るんですよ。病院側に情報システムに通じてる職員が。ローテーションでたまたま病院に配属された職員が情報システム部にいるという状況では何が起こるか…。結果的に今回同様の事故が起きかねないのではないでしょうか。

 病院側の要望が伝えらえない・ベンダ側の意見や提案が理解出来ない・病院内調整が出来ずにベンダに丸投げしてしまう…。これらの問題を解消するために動く「通訳」不在なのが不幸を生むのでしょうね。

 病院側SEとベンダ側医師がいれば、かなり改善されるのではないかと思う昨今です。