NW屋的新幹線通勤日記(3ヶ月限定名称)

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

医療機関同士の情報連携に立ちはだかるハードルたち(2)

 こんばんは。ちょっと間が開いてしまいましたが、こちらの記事の続きです。

karasuma-kitaoji.hatenablog.com

 前回は2つのハードルについて書きましたので、今回は3つ目のハードルから書いて行きます。

 3つ目のハードルは「患者同意」

 今回のネタ元であるSEさんには本当に申し訳ないのですが、「IT化が遅れている」ということよりも、こういった人間的要素が大きな部分を占めているというのも事実です。

 医療情報と言えば、かなりセンシティブな情報です。診察を受けた病院内で利用される分には誰も文句は言わないのですが、「他の病院でも使ってもいいですか?」というような話になった途端に、一気にハードルが上がってしまいます。「他の病院で使うことなどまかりならん!」と言い出す方もおられたりします。その気持ちも理解できます。「適切に情報が保護されるんだろうか?」と不安になるということかと思います。

 しかし、グループ内であったり、同一設置者である病院同士で連係プレイを行う必要もあります。そうなると、「診療のために限定して他院に情報を提供しますが宜しいですか?」という風に「同意」を取る必要があります。患者さん個々に取っていると、かなりの時間と手間を要しますので(患者さんにとっても不利益)、院内に「診療を受ける条件」として掲示する形で「包括同意」を得るという風にするケースも少なくありません。

 4つ目のハードルは「医療機関毎の情報取扱ルール」

 これも結構厄介で、病院毎のルールの違いが存在します。どうしても厳しい方に合わせないといけないので、ハードルが一気に上がります。民間病院のルール、公立病院のルール、国立病院のルールとそれぞれ食い違います。同じ公立病院でも、市立病院と県立病院とでは違いますし、別の市の市立病院では異なります。設置者による違いをどうやって吸収して行くかという問題があります。当該病院間にIP-VPN電子カルテシステムを接続したとして、「何をどう見せるか?」という話になり、単純に閲覧というわけには行かないことが多いです。守秘義務の問題もありますし、他病院の職員が電子カルテに書き込むのは拙いと考える向きが多いです。

 ルールが一本化されれば、もう少し違ってくるかもしれません。

 5つ目のハードルは「地域医療連携NWを作る際の強力なリーダーの存在」

 これが一番たいへんなんじゃないかと思います。どうやって地域を束ねて行くか、地域医療連携NWを継続的に運用して行くためには、推進してくれる強力なリーダーが必要です。トップダウンで「やるぞ!」と言って、みんながついて来るようなカリスマ性を持ったリーダーがいないと上手く行きません。立ち上げもそうですが、続けていくためには多くの医療機関の参加が必要です。続けるための資金繰りもそうですが、組織運営に積極的に協力してくれる人材が欠かせません。

 このあたりの枠組みがきちんと出来てないと、補助金が切れたらおしまいというケースもあります。突き詰めれば「人と金」になるんでしょうが。

 いろいろと面倒な問題がありますが、地道に一つ一つクリアして行くしかないのでしょうね。