NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

旭川医大が敗訴した理由を法律事務所が分析していた

 こんばんは。少し間が開きましたが、NTT東日本vs旭川医大電子カルテ更新をめぐる裁判について、法律事務所の見解を述べた記事がありました。storia法律事務所のブログからです。

storialaw.jp

 今回、二審(札幌地裁)判決で旭川医大側の過失100%という判決が下りました。仕様凍結後にもいろいろユーザ側が追加要望をねじ込んできたということもあるのでしょう。ベンダ側も「それは無理です」という風に拒否姿勢を示し、どうにも出来ない旨は伝えていたのだろうと思います。現実では医師側の力が強く、なかなか抵抗出来ないという事情もあるかもしれません。(場合によっては事務側の方が力が強い場合もあるかもしれません)

 ここでベンダ側が言われるがままにユーザ(病院)側の言うことを聞いていたら、ベンダ側のプロジェクトマネジメント義務違反が問われていたかもしれません。ベンダ側としては「無理なものは無理」と一定の主張はしていたものと判決内容から判断出来ます。

 それにしても、「一切の追加開発要望を出すことが出来ないにも関わらず、92項目の追加要望を出した」というあたりもどうなんでしょうか。ユーザ側の協力義務というのがすっぽり欠落しているようにも思えます。「客なんだから、ベンダは要望通りに仕事しろ」という風な意識があったのかもしれません。寿司屋で寿司を食べるのと同じ感覚だったのかもしれません。ベンダ側に医師(または医師経験者)がいないことを考えると、医師にとって使いやすい電子カルテを作るためには共同作業が必要になります。忙しいのは十分理解出来ますが、こういう問題が起きてくると、協力義務を積極的に果たして行く姿勢が問われてくるのではないでしょうか。