NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

診療所こそ積極的にクラウド型電子カルテを導入すべきじゃないだろうか(2)

 こんばんは。先日の記事の続きになります。「診療所こそ積極的にクラウド電子カルテを導入すべきじゃないだろうか」という記事を書きました。こちらです。

karasuma-kitaoji.hatenablog.com

 個人医院のような小規模診療所において、オンプレミス(診療所内)にカルテ等のデータを安全に保管しておくコストを考えてみると、実は案外馬鹿に出来ないんじゃないでしょうか。セキュリティ対策コストという風に言い換えることも出来そうです。

 まず、PC内ハードディスクなり、外付ハードディスクにデータを保管していることを考えてみましょう。休診時に盗難に遭うリスクもありますし、ハードディスク自体が壊れてしまうリスクもあります。これらを防ぐために、PCをチェーンロックすることや、不使用時には外付ハードディスクを外して鍵のかかる場所に保管するということも考えられます。

 ハードディスクが盗まれる/壊れるということ以外に、情報漏洩対策についても考えないといけません。従業員がUSBメモリにデータをコピーしたり、インターネットに接続されていない環境なのに、間違ってインターネットに接続してしまうことでウイルス感染して外部に流出してしまうかもしれません。

 うっかりや盗難対策を行うことに対しても、本業以外にそれなりのリソースを割かれます。このへんをどう見るかということもありそうです。

 そして、Webブラウザベースで完結するクラウド電子カルテシステムも存在しますので、クライアント側としては「Webブラウザが動けば使える」というメリットも大きいです。仮にシステム更新となった場合でも、診療所側の作業負担・心理的・中長期的経済的負担も小さいのではないかと推測されます。

 「情報漏洩を極力防ぐ」という観点からすると、手元にデータを置かず、結果をWebブラウザで表示させる方が安全だという認識が広まればいいなと期待してます。

 聞いた話ですが、診療所に電子カルテが導入された際に、インターネット接続用ネットワーク以外にクローズドネットワークを構築しました。たまたま端末が足らなかったのか何かの事情で、電子カルテ端末のケーブルを差し替えてインターネット側に接続しました。その結果、その端末がウイルス感染して、他の端末にも広げてしまったというような内容でした。

 単純にデータの保管だけではなく、院内での情報セキュリティ対策全般に目を光らせないといけないので、目に見えないコストは大きいです。もし、何かやらかしてしまった場合の損失はプライスレスではないでしょうか。

 そんなわけで、小規模施設は可能であればクラウド電子カルテに移行した方がいいんじゃないだろうかというお話でした。