NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

Free Wi-Fiの是非を考える(1)

 こんばんは。今回はFree Wi-Fiについてです。SoftBank孫社長が言及していました。同社株主総会での発言だそうです。

孫社長「訪日外国人向けの無料Wi-Fiはなくすべき」 - ITmedia Mobile

 訪日外国人向けかどうかは置いといて、最近あちこちで見かけるFree Wi-Fiですが、セキュリティ面的にどうなのか?という点に関しては同意です。市街地でスマホなりPCなりを立ち上げると、結構Wi-Fiの電波を拾いますよね。SSIDが表示され、電波状態や鍵アイコンの表示有無が分かります。Free Wi-Fiと呼ばれるものに関しては、鍵アイコンのない無線区間が平文のままとなっているケースがほとんどです。(逆に暗号化されているケースを知りません)

 利用者側も提供者側もリスクが大きいのではないか?という疑問も

 無線区間が暗号化されていないので、盗聴の危険性は十分にあります。これは無線区間が暗号化されていたとしても、事前共有鍵が公開されていたら、ユーザ同士では通信内容を覗き見することが出来てしまいます。単に「ユーザでない人からは見えない」というだけであって、あまり意味がありません。カフェなんかで「id:XXXXXXXX、パスワード:********」と店内に貼ってあったりしませんか?これもアウトですよね。

 ですので、VPNソフトを使うのが望ましいですが、最低限https対応のサイトにしかつながないぐらいのことはしておきたいものです。(それでも、通信先は分かってしまいますが)

 ここまでは利用者側の話ですが、提供者側としてもリスクはあります。「自由に使ってもらえる」ということは、悪意ある第三者が掲示板に問題発言を書き込んだり、特定サーバに執拗に攻撃を仕掛けたり…というようなことをされる可能性があります。

 その場合、接続環境を提供した提供者側の責任を問われる可能性も十分にあり得ます。さて、誰が悪用したのかを調べられるようにしていますでしょうか?ログを取っていたとしても、利用者の特定が出来るようにしていないことも多いのではないでしょうか。利用時にメールアドレスを登録させるケースもあるようですが、捨てアドを使われていたらトレース出来ません。Wi-Fiを提供する場合、「利用登録が面倒だ」という声が多く、セキュリティを考慮すると使ってもらえないという事例も少なからず見かけました。手続の簡素化と利用者追跡性の妥協点がメールアドレスなんでしょうね。

 こうしてみると、利用者も提供者もあまり嬉しくない要素が多いですよね…。

利用者認証とユーザ側の利便性を考えると3G/LTE回線がベターか?

 「ちょっとだけ(Wi-Fiを)利用したい」というときに、やたら煩雑な事前利用登録は回避したいですよね。提供者側も犯罪に利用されたりするようなことは避けたいですよね。他にもリスクはありますが、「セキュアで利便性の高いWi-Fiの提供」は相反する部分が多いですし、仮に出来たとしても、コストは馬鹿になりません。

 となれば、Wi-Fi提供よりも3G/LTE回線を使ってもらう方がコスパはいいのかもしれません。現在、MVNO各社が格安SIMを提供しています。データ通信専用なら比較的利用のハードルも低いですし、コストも抑えられます。訪日外国人向けのデータ通信用SIMを充実させる方がセキュリティも高められて、結果的に利用者・提供者両方にメリットがあるのではないでしょうか。

<つづく>