NW屋的日常徒然日記

ネットワークを専門にする元社内SEの日常とITネタ諸々を綴って行きます。

ISDN終了のインパクト(2) [自分なりのまとめ]

 こんばんは。昨日の記事のPVが急に増えていたので、ISDN終了の影響を受ける(あるいは対処済の)方々が多いのだなという印象を受けました。そこで、自分なりにISDN終了により影響を受けるシステムや業界について調べたことをざっくりとまとめてみることにします。

 最初はNTT東日本が今月公開した資料です。https://www.jpca.or.jp/cedi/event/pdf/25/3-2.NTT-EAST.pdf
 こちらはディジタル通信モードに関する解説で、「現在使っている回線がディジタル通信モードモードを利用しているかどうか」を確認するためのヒントを中心に記述しています。仕様の確認や、請求書の記載内容からの確認等について記載されています。
 この中の【確認方法(1)-2】でRS-232CまたはUSB接続について言及されています。「外部からの攻撃回避」の観点から、リモートメンテナンス対象の端末をシリアル接続することでend-to-endでTCP/IP通信せずに接続するという方法を取るケースがあります。この場合もディジタル通信モードで利用しているケースが多いとのことです。なので、単純なリモートメンテナンス接続だといっても、2020年後半からのディジタル通信モードサービス終了の影響を受けることになります。
 ですので、「EDIやCATは使ってないからうちは関係ない」ということではない事例です。あまりそのへんまで意識していないケースも多いのでしょう。
 
  次はCEDIフォーラム資料です。https://www.jpca.or.jp/cedi/event/pdf/24/8.cedi-th.pdf
「電話網廃止に向けた取り組み」という発表資料です。この資料によると、2020年までに対応を終わらせる企業もあるのですが、多くは2025年までに対応出来ればいいと考えていることを指摘していまし。2025年は電話網(PSTN)廃止予定時期です。2020年(後半)はISDNサービス終了予定時期です。「2025年までになんとかすればいいか」と考えているようでは遅いという指摘をしています。
 現状は社内TAやダイヤルアップルータまではTCP/IPだが、その先は全銀ベーシックや全銀TCP/IP手順で接続しているという想定で説明されています。代替案としては、インターネット経由、ASP利用、IP化アダプタによる対応の3種類を提示しています。最後の選択肢はインターネット経由ではなく、IP-VPNを使う方法を取っています。いずれにせよ、TCP/IPでの通信に置き換える方向のようです。ASPの場合だと、ややこしい部分はアウトソースで丸投げすることになります。
 
 最後ですが、こちらの記事です。http://www.intercom.co.jp/migration-pstn/edi.html
こちらもPSTNからIP網への移行ということで、各業界の対応について記載されています。ここでは流通業界・電子機器業界・自動車業界・化学業界・医療業界の5業界が取り上げられています。どの業界もインターネットまたはIP-VPN経由でTCP/IPを用いて接続する方向に変わって行くことは共通なようです。ただ、業界毎に用いる通信手順が異なります。詳しい内容はリンク先を御参照下さい。自動車業界の場合は既に2010年にJNXというセキュアなインフラが稼働しているそうです。その関係で従来の手順が利用されているのだそうです。
 業界毎に取組の進捗状況が異なるようですが、「EDI使ってないからウチは関係ない」という話では必ずしもないようなので、今一度利用しているISDN回線について確認されることをお勧めします。